こんにちわ、キョロスケです。週末は映画館に通い、週2、3本のペースで新作映画などを鑑賞している会社員です。
今回は、幹細胞クローンと遺伝子操作により生まれた不死の実験体セボクを巡る組織と研究機関との争奪戦を描いた「SEOBOK」を観てきました。
その設定や物語を通して語られる人間と死の関係にかかる話が印象的だったので、その理由や感想をお伝えします。
あらすじ/Story(未視聴者向け)
まず、本作のあらすじを簡単に紹介します。国の極秘プロジェクトとして、幹細胞クローンと遺伝子操作により、不死の実験体を作り出したソイン研究所の所長がある日、何者かにより殺害されてしまいます。
国の情報局は、セボク奪取を目的とした海外テロと考え、セボクをより安全な場所へと移送しようとします。
そこで、情報局はセボク護送の任務を元局員のギホンに依頼します。
怪しげな重要任務をギホンは、当初断りますが、自身の病の治療を交換条件に持ち出され渋々引き受けます。
しかし、ソボク護送任務、早々に二人は海外のテロ組織と思われる集団の襲撃を受けてしまい、二人での逃避行を余儀無くされてしまいます。
ギホンは、無事にソボクと共に謎の組織から逃げ切れるのかという様子を描いたSF作品となります。
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登場人物/Cast
本作の主な登場人物達です。
ギホン(コン・ユ):過去の事件により組織を辞めたが、不治の病のため、頭痛に苦しむ日々を過ごす男性。組織から病の治療を交換条件にソボクの護衛を引き受ける。
ソボク(パク・ボゴム):幹細胞クローンと遺伝子操作で作られた実験体。彼の持つ細胞は人間に「不死」をもたらす可能性があることから国家だけでなく国外からも狙われることとなる。ソボクには、実験により不死だけでなく周囲の圧力を操作できる能力が備わっている。このため、個人的にはSFアニメのアキラを思わせるような展開に変貌したと思います。
アン部長(チョ・ウジン):ギホンの元上司であり、情報局の幹部。ギホンにソボクの護衛を依頼する他、ギホンがトラウマを持つに至った過去の事件にも関与している男性。渡部篤郎が演じるような少し沸点の低い傲慢な官僚ボス的な感じ。
イム・セウン博士(チャン・ヨンナム):セボクを開発したソイン研究所の責任研究員であり、実験体であるセボクに人並み以上の感情を抱いている女性。
シン・ハクソン博士(パク・ビョンウン):ソイン研究所の研究員であり、代表理事を務める男性。周囲の権力者に頭を悩ませつつ、研究所の維持やセボク護送の協力と冴えない感じであるが、実は・・・的な役どころと個人的には思いました。
作品の見どころ
本作は、不死の体を持つセボクと不治の病に悩むギホンの二人が逃避行を行う中で、人間の「生死」について議論し、交流を深めて行くところが見所だと思います。
この点は、二人の会話だけでなくセボクを付け狙う組織側でもセボクの重要性という別の観点から提示されており、なかなか考えさせられるものがありました。
セボクは、生まれて初めて研究所の外に出て、外の世界を見ます。
その中で、死が間近なギホンとの交流を通して、人間の死について考えます。
そんなセボクが最後にどこに行き着こうとするのかを注目したいところです。
感想(以下、既視聴者向け)
さて、本作「SEOBOK」ですが、視聴された皆さんはどんな感想を持ったでしょうか。
本作、映像面、特にセボクの超能力と言っても差し支えない力とテロ組織や情報局達とのバトルシーンは力が入っており、そこが見所だった方も多いのではないでしょうか。
私もセボクが強すぎて、ギホンが護衛する意味ないじゃないかと内心、ツッコミを入れつつ楽しませてもらいました。
次に本作ストーリー面でのテーマでもある生と死についてですが、これは不死のセボクと不治の病を持つギホンが語り合うということで更にテーマが際立っている感じがして、良かったですね。
特に、これからも何も変わらない日々が無限に続く不死に対する不安を告白するセボクと不治の病によりいつ終わるとも知れない日々を送る不安を持つが、過去の事件のため、生き長らえる価値が自分にあるのかと言った矛盾を抱えていると告白するギホンとのやりとりが印象的でした。
また、敵側となるアン部長達の会話に出てくるセボク抹殺の意義(奪取されるリスク)として、死があることで人間は、恐怖し、その日の生活に意味を見出し、その他の欲望に飲み込まれることなる人生をまっとうできるという説明は、なるほどなぁと感心してしまいました。
これに対して物語の黒幕と言える立場にあった会長は、セボクの力を利用して、永遠の生命、生き残らせる生命の選別を自身で行えると、壮大な悪事を企んでいたようで、分かりやすい悪人でしたね。
さて、本作タイトルにもなっているSEOBOK(セボク)ですが、由来は作中でシン博士が説明している通り、秦の始皇帝の部下である徐福だそうです。
徐福は始皇帝に、東方にある長生不老の霊薬の存在を教えると共に、始皇帝から多くの部下、財産を預かり、その霊薬を探しに向かった人物と伝えられています。
しかし、彼は霊薬を見つけられず、秦には戻らなかったそうです。一方では、霊薬の存在をネタに始皇帝から金品をせしめた詐欺師と伝えられる人物でもあるそうです。
長生不老の霊薬をもたらすと思われた徐福ですが、どちらの人物評ともに、霊薬は始皇帝のもとには、もたらされませんでした。
この辺り、本作のラストとある意味、同じ結末であり、タイトルの「SEOBOK」というのも良いネーミングセンスだなと思いました。